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2008/11/13 13:23
もう11月ですね。めっきり寒くなってきました。私は仕事で山梨に行くことが多いので、すでに真冬の寒さを先取りしている感がありますが、東京の方も徐々に徐々に日々の寒さを増しつつあるようです。お出かけの際は防寒対策を忘れずに。

さてさて、本日紹介するミュージシャンは『航』という女性シンガーソングライターです。
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少し前に山田兎というフォーク系のシンガーソングライターを紹介しましたが、彼女はだいぶ毛色の違うタイプと言えるでしょう。
所謂「等身大の歌」とは路線の違う、現実の景色の中に宗教的な観念や超現実的な色彩を添えるような不思議な感覚の歌を唄う人です。その歌声はスピリチュアルを通り越してシャーマニックと言ってもいいくらいに感じるのですが、変にマニア受けするタイプでもなく、むしろ癒し系と呼んでもいいと私は思っています。癒し系と言っても所謂α波ミュージックではなく、感性に訴えかけるタイプなので、そういう意味ではやはりマニア路線なのかもしれませんが。

彼女自身のプロフィールに少し触れておくと、音楽大学のリトミック科(音楽教育)卒で、さらに音楽療法士の専門学校も出ているという点が目を引きます。私が彼女の音楽に癒し系の色合いを見出すのは感覚的な理由なので理路整然と書くことができないのですが、こういったバックグラウンドが彼女の作る音楽に影響を及ぼしている点は皆無ではないでしょう。
クラシックを土台にした感情豊かなピアノ、物静かなようで深く響き渡る歌声、女性的な感性と精神的なテーマの混じり合った歌詞、それぞれ単体で取り上げてみると非常に独自性の強い要素なのですが、それら3つの要素が溶け合うと不思議と心安らぐ音楽に行き着きます。
特に私が個人的に好きなのが彼女の書く詞です。種田山頭火の歌を大胆に引用した『山頭火』や、仏教思想を独自の解釈で噛み砕いた『法然』、日常にある風景を詩的にデフォルメした『マド』など、どの曲も非常に個性的です。

『力強く、繊細に響く航の「うた」。現実と超現実の間を大胆に闊歩していく。』

これは彼女のアルバム『山吹』につけられたキャッチコピーですが、言い得て妙な文句です。力強くて繊細。現実と超現実。一見相反する要素でありながら、確かのその両方ともが存在する彼女の「うた」。必聴と言わせていただきます。


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アルバムレビュー
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<一曲一会> The Mollusk

2008/09/13 16:37
私事ですが、少し前にターンテーブルを購入しました。中古であまり新しくもない型なのですが、その分安かったのでお得だったと思っています。
ターンテーブルを使う時は、基本的に個人的な鑑賞用にではなく、特定の場所で流す音楽という前提でCDをチョイスしています。そういうことを考えながら音楽を流していると、単純に音楽性の良し悪しだけでなく、その曲が持っている雰囲気が、自分の考えているシチュエーションにマッチするかどうかという視点が加わり、これまでとは違った音楽の聴き方ができるようになった気がします。

例えば「変わった作りがいいんだけど、ポップな雰囲気を兼ね備えている」という条件で曲探しをしている時に、ドンピシャだと思ったのがWEEN『The Mollusk』という曲。
イントロダクションから最後まで一定の調子で流れ続けるシンセサウンドによって、深い水の底へ沈んでいくようなメロウな雰囲気がもたらされており、それでいて歌メロはフォークソングのように素朴。2分半程度の短い曲ながら、一発で狙った雰囲気を作れる力のある曲だと思いました。
サウンドの骨子としては主に2点。前面で強い主張をするメロウなシンセサウンドと、その陰で素朴なアルペジオを奏でるアコースティックギター。この2つの音が中心となり、奇妙ながら温かみのある曲に仕上がっています。
『軟体動物の宴』という邦題にもピッタリの雰囲気を持つひねくれポップです。





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NGATARI

2008/08/30 02:09
私は特定のミュージシャンに関する批評をする際には、基本的にある程度聴き込んでからするようにしています。が、たまには出会った時の衝撃をそのままに、あれこれと想像を交えながら語ってみるのもアリかなと思い、今回は先日発見したばかりの『NGATARI』(ガタリ)というバンドを取り上げてみました。

彼らを見たのは本当につい先日の28日のことです。代官山にある晴れたら空に豆まいてというライブハウスで、その日のトリを努めていたのがNGATARIでした。
NGATARIの名の通り(ガタリとはマオリ語で「揺れる」という意味なのだそうです)、独特の浮遊感を伴うピアノとドラムの演奏に、どこか儚げで「精霊的」なジェシカのボーカルが混ざると、ゆらゆらと身体を揺さぶられてしまう独特のサウンドが出来上がります。
NGATARIに出会って私は、1つの形態として確立している従来の空間系とは違う、本当に空気を侵食して聴き手の感覚を揺らしてくるような、新しい空間系サウンドを見出した気がします。こういう言葉で表現するのが難しい、本当に感覚部分(感情ではなく)に訴えかけてくる音楽に出会えることは稀です。

音楽性そのものもそうですが、ライブでの音の作り方においても、NGATARIはちょっと変わっているなぁという印象を持ちました。彼らはバンドの形を取ってはいるものの、音を合わせる(アンサンブル)のではなく、それぞれが思い思いの色でキャンバスに絵筆を振るうかのように、それぞれが自分の音が完全に独立させたままバンド演奏をしているように感じました。それは息が合っていないという意味ではなく、混ざり合っていない原色部分を三者三様に残したままに、音を混ぜ合わされているという印象です。もっと音楽的な言い方をするのなら、完成された楽曲を演奏していながらも、それぞれが即興に興じているかのような錯覚を覚えてしまうのです。
これは私がたった1回のライブを観て受けた印象ですから、もしかしたら全く的外れなことを言っている可能性もあります。ですが、私がNGATARIの音楽に対して、単に奇をてらったのではない、確かな完成度を伴った独自性を感じたのは紛れもない事実です。久しぶりに「恐るべきものに出会った」という感覚を受けました。

まだ結成して1年。まだまだ見ていないものが、これからたくさん飛び出してきそうな予感がします。なんともわくわくします。





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日比谷カタン

2008/08/16 17:17
前回、前々回と『サブカルヒステリーアワー2』の出演者に焦点を当ててきましたが、今回がその最終回(locolo codeる*しろうに関してはすでに紹介済み)です。

『日比谷カタン』というミュージシャンに私が初めて出会ったのは去年の12月のことですが、鈍器で頭を思い切り殴られたかのような衝撃的ステージだったことを、今でもありありと思い出せます。
これまでも様々な要素を内包した一概にカテゴライズできない音楽性の持ち主を紹介してきたと思いますが、日比谷カタンの場合は単純に音楽ジャンルだけでなく、その精神性においても実に多種多様な要素が渾然一体となっており、ある種妖怪じみた雰囲気すら感じる人もいるのではないかと思います。
アコースティックギター1本抱えて唄うというスタイルは一見なんら珍しいことのないオーソドックスな弾き語りに映るのですが、ひとたび演奏が始まってしまえば到底弾き語りで片付けるのは不可能。芝居がかった口上、多重人格であるかのような千変万化する声色、超絶技巧のギタープレイ、複雑に展開するポストプログレ的楽曲といった要素が濃密に絡まり合い、ソロでこれだけのことをやってのける技量と引き出しの多さには感心を通り越して畏敬の念すら覚えます。

見方によってはどこかグロテスクで同時にエロティシズム漂うその雰囲気には(本人はむしろビジュアル系を思わせるイケメンなのですが)馴染めない方もいるでしょう。ですが意外にもそのキャラクターは非常に腰が低くコミカルで、MCになるとその巧みな話術と可笑しなキャラクターでたちまち爆笑を巻き起こしてしまうという、芸人じみた一面も持ち合わせています。
昭和歌謡、シャンソン、怪奇小説、シュールレアリスム、アキバ文化、お笑いなどの要素が出鱈目に顔を覗かせる彼の音楽は、異様なのに不思議とエンターテイメント性を強く感じさせられて、それこそが日比谷カタンというミュージシャンの秀逸な点なのだと感じます。ある意味とても日本的でありながら、海外での評価が高いのもそういう点が面白いからかもしれませんね。
怖いもの見たさでも構いませんので、彼のライブには是非とも1度足を運んでみることをオススメしますよ。





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<ライブ> Gem High Quality

2008/05/13 00:18
更新するすると言っておきながら見事に間隔が空いてしまいました。情けないまでの有限不実行ぶりでお恥ずかしいです。
そんなわけで久しぶりの更新ですが、これまた久々にライブから1本記事を書いてみようと思います。

11日の日曜日、渋谷のLUSHというライブハウスに行ってきました。当初の目当ては少し前にここで紹介した内核の波だったのですが、最初に登場した『Gem High Quality』(以下GHQ)というバンドが非常にカッコよかったので、そちらを紹介してみようと思います。

公式プロフィールによるとGHQ
「10年来、活動を共にして来たセッションミュージシャン、A/Vo、 ZETA(セタ)/G、ARIYAN/Bを中心に、SYNJI/Ds、YUTAKA/Per, Mixを加えた5人によって 2005年、横浜で結成されたロックバンド。」
とのことです。
11日に観たライブではボーカル&パーカッション、ギター、ベース、ドラム、キーボード&マニュピレーターの5人編成でのライブでした。メンバー紹介の時に「今日のキーボード」という言い方をしていたので、どうやらキーボードのメンバーは固定ではなく、その時その時で人を呼んでいるようです。

肝心の音楽性ですが、重厚なヘヴィネスサウンドに力強い女性ボーカルが絡み、かなりラウド系の印象を受けます。ヘヴィメタルかというとそうでもなく、むしろグランジに近い感じで、そこにゴシック、サイケデリック色をつけ加えた感じです。
特にバンドの特徴を語る上で外せないのがAのボーカル。同じ女性ボーカルのヘヴィネス系バンド(EVANESCENCE、Nihgtwish、ARK ENEMY、五人一首など)と比べてみてもそのボーカルは明確な個性を見せています。デス声を使ったり逆にクラシカルな発声を用いるわけではなく、そのままでとても骨太な中低音を響かせることができ、それがバンドのヘヴィなサウンドと完璧にマッチしています。今ではメタル系のバンドに女性ボーカルが入ることは以前ほど珍しいことではなくなりましたが、Aのようなある意味正統派とも言えるボーカルを聴かせるタイプは案外お目にかからないものです。

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またライブで大きな役割を果たしていたのがキーボード兼マニュピレーターの存在です。この日のキーボードは派手なプレイは決して見せないながらも、Aのパーカッションと共にエスニック感を出したり、アンビエントっぽい硬質さを出したりと、サウンドを広げる縁の下の力持ち的なポジションとして活躍していました。
また曲によって自在にボーカルにエフェクトをかけ、脳をかき回すようなトリッピンな空間を演出したりと、演奏以外でも活躍していました。このボーカルエフェクトは恐らくGHQのライブにおいては欠かせない要素の1つと思われます。どっしりしたヘヴィなサウンドの中でボーカルに浮遊感が加えられることで、なんとも言えない恍惚感が生まれ、まるで酔っ払ってしまったかのように感じるライブでした。

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がっつい食いでのある音楽に飢えている方。是非ともGHQをチェックしてみてください。
次回ライブは14日、四谷のOUTBRAKEですよ。


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<ライブ> MUDDY WORLD

2008/03/03 23:33
久しぶりにライブからの記事を書こうと思います。
2月26日に吉祥寺Planet Kで行われたイベント『吉祥寺オルタナティブ』を観てきました。
私の目当ては『MUDDY WORLD』というバンド。針で急所を突くような切れ味鋭い演奏を見せてくれると同時に、90年代のオルタナティブロックファンにも好まれそうなパワフルな面も持ち合わせています。
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MUDDY WORLDはギター&ボーカルの添田雄介、ベースの村上啓太、ドラムの杉田宏平からなるスリーピースバンド。アメリカでの演奏経験も持つなど、若手ながらワールドワイドに活動するバンドです。
彼らの音楽はインストゥルメンタルがメインで、この日のライブも歌が入ったのは1曲のみ。音源の方も8:2くらいでインストが主体です。さわりだけ聴くとジャズロック的に感じたり、変拍子の多用やテクニカルな演奏からプログレっぽく感じたりもしますが、よくよく聴いてみるとそのサウンドはジャズでもフュージョンでもプログレでもなく、やはりロックだと思わされます(プログレもロックの1分野ですが)。
シャープで音の粒がはっきりしたギター、単調にならず主張しすぎず底辺を支えるベース、手数プレイに走らず巧みに緩急をつけて全体をカバーするドラム。三者がそれぞれに魅せるプレイをしつつ、盛り上げるところでは一体になってガツンと迫ってくる緩急のつけ方が実に上手く、歌なしでもライブは非常に盛り上がっており、中にはジャンプしながらノっている人もいました。
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最初に90年代オルタナファンにも好まれそうだと書きましたが、特に初期のRadioheadなどのギターサウンドが好きな人にはたまらない感じだと思います。ちょっとジャズロック風なアプローチで静かめに始まったかと思うと、中盤から一気にヒートアップしてヘヴィなサウンドを叩きつけてくるところが私自身大好きです。
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彼らは東京のバンドですが、関西方面でライブをすることもあったりと広い範囲で活動していますので、名前を覚えていたら是非1度ライブをご覧になってみてはと思います。
それと余談ですが、彼らのアルバムジャケットやフライヤーやウェブサイトなどで使われているトレードマーク的に使われている馬のアートワークですが、こちらはギターの添田雄介によるもののようです。これがなかなかにスタイリッシュで素敵な感じなのですが、オフィシャルサイトの「WORKS」のコンテンツで閲覧できますので、興味のある方はどうぞ。


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らっこフォト(ライブ写真を多数掲載しています)
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locolo code

2008/02/14 05:11
さて、先日お知らせした『サブカルヒステリーアワー』の開催も日一日と迫ってきております。誰よりも自分が楽しみにしてますが、皆様にも楽しみにしていただけるよう、今日は冬特集ではなく、イベントの出演バンドの1つ『locolo code』(ロコロコード)を紹介します。

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locolo codeはコンテンポラリーダンスグループ『発条ト』で舞台作曲家を務めていた粟津裕介とダンサーの森下真樹の2名を中心に結成され、他にベース、ドラム(兼キーボード)、トランペット、バイオリンを加えた計6名からなる豪華なバンドです。
1拍ごとにコードの変わる万華鏡のような楽曲が非常に特徴的で、ほとんどの人が彼らの音楽を初めて聴いた時に「なんだこりゃ?」と思うくらい、他に類を見ない性格を持っています。
方法論というか音楽的な分類をあえてするならば、サイケデリックロックやプログレになるのでしょうが、その両者にありがちなダークで重々しい雰囲気はあまり感じられず、むしろ印象としてはポップに仕上がっているのがまた面白いところです。

楽曲の面白さだけ取ってもかなり魅力的なバンドですが、locolo codeのもう1つの面白さはそのライブにあります。
毎回オープンリールプレイヤーに吹き込まれるコミカルなMCや森下真樹の予測不可能な動き、さらには楽曲によって担当パートを入れ替えたりと、さすがは舞台出身のメンバーが中心になって作られたバンドだけあって「見せる」演出というものがふんだんに盛り込まれています。
ライブバンドには完璧な演奏をして楽曲を原型そのままに再現するタイプと、様々な仕掛けを打ったり場の空気に合わせてアレンジを加えたりする2タイプがありますが、locolo codeは後者と言えるでしょう。
かつてプログレッシヴロックという言葉が生まれる前に、そこに分類される音楽がアートロックと呼ばれた時代がありましたが、locolo codeのライブからは、それとはまた違う新時代のアートロック(あるいはアートポップ)と呼ぶべきものを感じます。

そんな彼らの次回のライブがサブカルヒステリーアワー!・・・・・・の前に、3月6日に三軒茶屋のグレープフルーツムーンであるみたいです。気になった方は是非足を運んでみてください。そして3月8日は吉祥寺のシルバーエレファントにもお越しください(笑) どうぞよろしく。


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Porcupine Tree

2007/02/03 11:49
このところ日本のミュージシャンばかり紹介していましたが、久しぶりに海外のミュージシャンを紹介しようと思います。
イギリスのプログレッシブロックの雄『Porcupine Tree』の登場です。

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こちらで紹介する事となったきっかけは、友達が遊びに来た時にPorcupine TreeのCDをかけてくれた事でして、それまでは彼らの事は全く知りませんでした。
実は20年ものキャリアを持つベテランバンドなのですが、生憎と日本ではほとんど知名度がなく、2005年に発表された『Deadwing』というアルバムが最初の国内盤となっているようです。そちらも少し聴きましたが、今回のレビューは『Stupid Dream』という1999年のアルバムを元に書いています。

始めにプログレッシブロックと言いましたが、サイケデリックロック(特にPINK FLOYDとの対比がよく用いられます)と呼ぶ人もいます。私自身聴いてみて思ったのは、特定のジャンルにカテゴライズ出来る類いの音楽ではないという事でした。イギリスのバンドらしく、UKロック特有の湿っぽいメランコリックな雰囲気があり、特にボーカルはThe BeatlesU2などを想起させます。
そんなどことなく暗い雰囲気をたずさえながらも、メロディラインの美しい曲が多くて、決して重苦しい退屈な音楽にはなっておらず、所々に7〜8分に及ぶ長い曲が散りばめながらも、アルバム全体を通して聴きにくいという印象はあまりないです。
プログレ、サイケ、メタル、さらにアンビエントなどのエレクトリックな要素を取り込みつつも、不思議と一貫性のない散漫な印象にならず、アルバムの始めから終りまでPorcupine Treeの色で統一されているのは見事です。

私が彼らの音楽を聴いていて思ったのは、今後は「ミクスチャー」というジャンル名が死語になっていくのではないかという事でした。上原ひろみの項でも書きましたが、近年はこういうボーダーレスな音楽をやるグループが増え、ジャンル付けの意味合いが段々と曖昧になってきました。元々どんな音楽においても、ジャンルというものは後付けで付与されてきたものであり、それは一面で便利なものではありますが、時にリスナーやミュージシャン自身の視野を狭めてしまうものでもあります。あまりジャンルに拘らずに聴いた方が結果的に自分の世界が広がりますし、彼らのような多面性を持った音楽は同時に色々な音を楽しむ事が出来て面白いと思います。

最後にこれからプロのミュージシャンを目指す若手の方々にも言わせてください。好きなミュージシャンや好きなジャンルは誰でもあると思います。「誰々のようになりたい」という憧れもあって当然かと思います。ただ、それで終る事なく、好きな音楽を自分の中に取り込んだ上でそれを再構築し、自分だけの音楽を作るという心構えを忘れないで欲しいと思います。


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試聴その2
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THE PRESIDENTS OF THE UNITED STATES OF AMERICA

2006/12/29 13:55
なんか長ったらしーいタイトルですが、これが今回紹介するバンドの名前です。面倒なので、以後プレジデンツと呼びます。直訳すると「アメリカ大統領たち」ってとこでしょうか?そんな人を食った名前に負けず劣らず、なかなかおちゃらけたバンドです。

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彼らはアメリカ、シアトル出身の3人組バンドで、結成したのは1993年ということで、もう10年以上のキャリアを持つわけですが、日本ではそれほど知名度は高くないようです。音楽性を簡潔に言ってしまうと、グリーンデイに代表されるメロコア系+アメリカンロックという感じです。メロコアとはっきり言い切れるほど突き抜けてるわけでもなく、アメリカンロックと言い切れるほど華美でもなく、上手く言えば両方のいい所を持って行ってるバンドですね。程よく力の抜けた感じがあり、ロックなのに全然うるさくなくて、普通のポップスファンでも楽しめそうです。

さて、彼らは名前も変ですが、他にも変な所が結構あります。
まず使っている楽器が変。
メインヴォーカルのクリス・バルーが使っているのが「ベーシター」という弦楽器。どこぞの民族楽器のような響きですが、実のところギターにベースの弦を2本張っただけのシロモノ。同じようにギターに太目のギター弦を3本張っただけの「ギターベース」をデイヴ・デドラーが使っており、ドラマーのジェイソン・フィンが叩いているのが「ノーストリングスドラム」。ドラムというのは打楽器ですから、元々弦なんかなくて当たり前かと思われるかもしれませんが、実はドラムにも(正確にはスネアドラム)弦が張ってあり、これを調節する事で響きを変える事が出来ます。それについては「スネアドラム」で検索してみれば、色々わかるかと思います。

楽器に負けず劣らず歌の中身も変です。
例えばファーストアルバムの1曲目『KITTY』(ネコの唄)ですが
「毛を逆立てて俺のジーパンをひっかいて破る
 ふざけるなネコ
 ふざけるなにゃんこ
 ファック・ユー
 出てって外で寝ろ!」
みたいな内容です。しかもその後で「さわりたい」を連発するんですが(笑)
もちろんこれは日本語訳なので、完全にこの通りの歌詞とは言い切れないのですが、全体的にこういう軽いノリのものが多く、社会的メッセージを載せた重い歌や、甘い恋愛ソングなどは全然ありません。

ちなみに彼らは親日家でもあるようで、セカンドアルバムではツアーで来た時の日本滞在記がそのままライナーになっていますし、日本の事を歌った『JAPAN』という曲も収録されています。曲の途中、日本語で「アリガトー」と唄っている部分があり、それが思い切り片言で笑えます。

そんなわけで、プレジデンツを一言で表現すると「脱力系ロック」とでも言いますか、やっている事はとてもふざけているのですが、これがライブになると相当にパワフルなようで、私もちょっと動画で観てみたのですが、かなり盛り上がってました。ベーシターとギタベースをどのように駆使しているのか間近で観てみたい方は、是非ともライブに行くことをオススメします。

今回のネタ提供は秋葉原のメイド喫茶で働いている、さなえさんでした。さなえさんありがとう!(´▽`)ノ


オフィシャルサイト(英語)
Lump動画
アメリカ歴代大統領(本項と関係ありません)
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