『EARLY WORKS』―STEVE REICH

ミニマルミュージックの代表格的な存在として知られるスティーブ・ライヒの初期作品集。彼の最初のオリジナル作品とされる「IT'S GONNA RAIN」(1965年)を始めとして、「COME OUT」(1966年)、「PIANO PHASE」(1967年)、「CLAPPING MUSIC」(1972年)の4曲が収められている。

最近読んだアヴァン・ミュージック・ガイド(作品社)という本の中にもライヒを紹介している項がある。その記事の著者によれば、スティーブ・ライヒの音楽の悦びは「ずれ」を聴くことに尽きる』とある。この作品集に収められている4曲も「ずれ」の生み出す効果を有効に使っているものばかりだ。始めに反復ありき、だが単純にループしていくのではなく、徐々に「ずれ」ていくことで独特の「ゆらぎ」を感じさせるのが特徴だ。
ライヒの手法はミニマルとして語られることが多いが、実際に彼の音楽を聴くことで得られる酔っ払うような聴覚効果は、後のサイケデリックロック、さらにはもっと先のトランスミュージックのルーツにもなっているような気がする。

ただ、なんのかんの云っても初期作品集である。後々の作品、特に代表作とされる「18人の音楽家のための音楽」に比べると、ここで聴く4曲はそれほど洗練されてはいない。「18人~」が日頃現代音楽を聴かないような人間でも楽しめるほど計算され尽くした作品であるのに対し、この4曲はあくまで現代音楽の枠を出ていない印象を受ける。M4「IT'S GONNA RAIN」などは熟達したDJであれば即興で同様の作品を生み出せそうな気がするし、そんなに作り込まれた作品ではない。当然聴く側も作品のクオリティ云々ではなく、手法の「発見」と「ルーツ」に的を絞って聴くべきだろう。そういう観点で聴いていると、例えばM2「PIANO PHASE」などは「ここでストリングスとボイスが入れば18人の音楽家のための音楽っぽくなるのに」などといった妄想を楽しめたりする。要するに好きな人向けだ。

蛇足として付け加えさせてもらうと、観賞用としては少々娯楽性に欠けるアルバムではあるが、素材として扱うとまた違った魅力が見えてくる。M1、M4などは元々が素材をざっくり切り貼りしたような作品だから、まだまだいくらでも加工の余地はある。先程もちょっとDJを引き合いに出したが、そういう人種の方が楽しめる作品かもしれないな。





Steve Reich: Early Works
Nonesuch
1995-11-10

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